こんにちは。元獣医師のにぼしです。
ワクチンを接種したら、顔が腫れてきた!
ワクチンを注射してから、愛犬がなんとなく元気がない・・・もしかして副作用?
ワクチンを接種した後は、いつも通り過ごしても大丈夫?散歩やシャンプーは?
などなど・・・
ワクチン接種の後って、気になることや心配なことがいろいろ出てきやすいですよね。
そんな疑問や不安を少しでも解消できるように、この記事ではワクチン接種後の副作用や、過ごし方で注意したいことなどを解説していきます。
かかりつけの獣医さんに相談する時に参考にしてみてくださいね。
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犬のワクチンと副作用
ワクチンとは、ワンちゃんが病気にかからないように健康を守るためのもの。
そのために、あえてワンちゃんの体にとっては異物である病原体を注射して、体の免疫力を高めるという仕組みです。
この時、ワンちゃんの体質によっては、ワクチンに対する過剰反応が起こることがあるんですね。
これがワクチンの副作用(副反応)です。
全てのワンちゃんに副作用が起こるわけではありませんが、副作用としては、注射部位が熱感を持つような部分的な症状から、ショック症状のような全身症状まで、様々な症状があらわれることがあります。
混合ワクチンや狂犬病の予防接種を受けた後は、ワンちゃんの様子をよく見て、異常がないかどうか確認してあげましょう。
最も気をつけるべきは、アレルギー反応!
ワクチンによる副作用の中でも、一番気をつけたいのがアレルギー反応!
ワクチンアレルギーには、ワクチン接種後すぐに起きる即時型アレルギーと、接種後数時間〜24時間以内に起きる遅延型アレルギーの2種類があります。
即時型アレルギー
- ワクチン接種直後〜15,20分以内くらいに発生する
- 痙攣や血圧低下、呼吸困難などの全身性のショック症状
いわゆるアナフィラキシーショック。
人間でも、ハチに刺されたり、蕎麦などの食物アレルギーで、突然ショック症状が起こることが知られていると思いますが、それと同じです。
すぐに適切な処置をしないと命を落とすこともある、重篤なアレルギー反応です。
そのため、多くの動物病院では、ワクチン接種を受けた後、動物病院の待合室で20~30分待機して、異変がおこらないか確認してからお家に帰ってもらうようにしているはず。
早くお家に帰りたい気持ちがあっても、これだけは必ず動物病院で確認してから帰宅していただけるよう、お願いします。
遅延型アレルギー
- ワクチン接種後、数時間〜24時間以内に発生する
- 注射部位の熱感、顔腫れ、じんましん、痒み、嘔吐・下痢など
ワクチンの接種直後は元気で何も問題なかったとしても、まだ油断はできません。
ワクチンを接種した後は、帰宅してからも丸一日くらいはワンちゃんの様子をよく観察してください。
よくある症状は、顔が腫れてパンパンになること。
ひどい場合は顔がお月様みたいに腫れ上がるので、専門用語ではムーンフェイスとも呼ばれます。
万が一、このようなアレルギー反応があらわれた場合は、すぐに動物病院に連絡しましょう。
症状の程度によっては、アレルギー反応を抑える処置を行います。
元気がない、食欲がない、震えているなど、その他の心配な症状は?
顔が腫れるなどの明らかなアレルギー反応ではなくても、ワクチンを接種してから元気・食欲がないなどの症状があらわれると飼い主さんとしては心配になりますよね。
軽度な症状は1~2日で治ることがほとんど
ワクチンに対する体の防御反応の結果、軽度な副作用として、元気・食欲が低下することもあります、
しかし、これらは一時的なもので、時間が経てば回復することがほとんど。
翌日など、1~2日で自然におさまることが多いです。
まずは自宅でゆっくり休ませてあげてください。
あまりにも長期間症状が続いたり、症状が悪化する気配があれば、動物病院に相談してみましょう。
精神的なストレスを感じている場合も
また、このような症状は、精神面でのストレスが原因である可能性もあります。
あなたのワンちゃんは、病院に行くことや注射がすごく苦手ではありませんか?
恐怖や痛みで一時的に元気がなくなっていたり、疲れてしまっているのかもしれません。
自宅の慣れた環境で休ませてあげ、しばらく様子を見てみましょう。
愛犬がワクチン接種後に体調を崩さないための6つのポイント
ワクチンに限らず、例えば治療のための注射やお薬などでも、体では何かしらの反応が起こります。
必要以上にワクチンを怖がることはありませんが、ワクチン接種後になるべくワンちゃんが体調を崩すことがないように、飼い主さんとして注意したいことをまとめました。
1.今までにワクチン接種後体調の変化があった場合は、必ず事前に獣医師に申告する
ワクチンでアレルギー反応をおこしたことがあったり、体調に影響が出た経験があるワンちゃんは、ワクチンを接種する前に必ず獣医師に伝えましょう。
事前にアレルギー反応をおこしにくくする注射をした上でワクチンを接種するなど、安全にワクチンを接種するために特別な対応が必要になることがあります。
あまりにも重度なアレルギー反応を経験した場合は、ワクチン接種を中止した方がいいかもしれません。
不安なことは、事前に獣医師としっかり相談してくださいね。
2.ワクチン接種前は体調が整っているかどうか確認する
体調が悪い時に無理にワクチンを接種するのは控えましょう。
発情中や妊娠中なども、普段と体のバランスが変化しているため、ワクチンによって体調に影響が出る可能性があります。
元気や食欲、嘔吐や下痢がないかどうかなど、いつもと体調に変わりがないか確認してから動物病院を受診するようにしましょう。
3.ワクチン接種前に不要なストレスをかけない
ストレスがかかった状態では、ワンちゃんも体調を崩しやすくなってしまいます。
お家に迎えてすぐの子犬や、旅行・お出かけの直後などは、疲労やストレスで体調が不安定なため、ワクチン接種は控えた方がいいでしょう。
子犬の場合、家に迎えてから1週間ぐらいはまずは環境に慣らすことを優先し、その後でワクチン接種を受けるようにしましょう。
4.午前中などなるべく早い時間にワクチン接種を受けるようにする
ワクチンを接種してから数時間から1日は体調に異変が起こる可能性があります。
しっかりとワンちゃんの様子を確認してあげられるように、また、万が一の時に、夜間で動物病院が閉まっている!というような事態を避けるためにも、ワクチンはなるべく早い時間帯に接種することをオススメします。
5.ワクチン接種後はなるべく安静に
人間でも予防注射の後は安静にして入浴を控えたりしますよね。
それと同じで、ワンちゃんもワクチンを接種した日は安静に過ごさせてあげてください。
ワクチンを接種した後、そのまま遠方にお出かけしたり、ドッグランで遊ばせたりするのはもってのほか。
お散歩もいつもより軽めに済ませるなど、なるべく体に負担をかけたり、興奮させないように注意してあげてください。
6.シャンプーやトリミングは、ワクチン接種後1週間程度待ってから
シャンプーやトリミングを利用するためにワクチン接種を受けに来院する飼い主さんが結構いらっしゃいます。
極端な話、「今日トリミングの予約があるんだけど、ワクチンの有効期限が切れちゃってたから注射してください!」というような方もいらっしゃいました…
シャンプーやトリミングは、ワンちゃんにとっては結構体力を消耗するものなんです。
ワクチン接種後、1週間程度は控えましょう。
ギリギリで焦って動物病院に駆け込むことがないよう、余裕を持ってワクチン接種の予定を立ててくださいね。
犬のワクチン接種後は、アレルギー反応や体調の変化に注意しよう
ワクチンは、ワンちゃんの健康を守るための大切な注射です。
しかし、どんなものにも良い側面と悪い側面があるように、副作用が出る可能性がゼロではないことも事実。
- ワクチン接種後に体調を崩す確率を減らすために、接種前後は安静に過ごし無理をしないこと
- ワクチンを接種した後は、ワンちゃんの体調に異変がないか、丸一日よく様子を見ること
ワクチン接種を受ける時は、この2点に気をつけて、獣医師と相談しながら適切なワクチン接種を受けましょう。
ワクチンの種類や選び方については、犬の混合ワクチンの種類と選び方、接種時期のまとめ。でも詳しく紹介しています。
もしもワクチン接種後に心配な症状があらわれたら、一人で判断せずに遠慮なく動物病院の獣医さんに相談してくださいね。
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