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元気がないのは副作用?猫のワクチン接種後の注意まとめ!

仰向けに寝転がる猫

どうも、元獣医師のにぼしです!

ワクチンを注射してから、うちの猫がなんとなく元気がない・・・もしかして副作用?

体が熱っぽくて食欲がない・・・

猫ちゃんのワクチン接種の後って、気になることや心配なことがいろいろ出てきやすいですよね。

そんな疑問や不安を少しでも解消できるように、この記事ではワクチン接種後の副作用や、過ごし方で注意したいことなどを解説していきます。

かかりつけの獣医さんに相談する時に参考にしてみてくださいね。

猫のワクチンと副作用

ワクチンとは、猫ちゃんが病気にかからないように健康を守るためのもの。

そのために、あえて猫ちゃんの体にとっては異物である病原体を注射して、体の免疫力を高めるという仕組みです。

この時、猫ちゃんの体質によっては、ワクチンに対する過剰反応が起こることがあるんですね。

これがワクチンの副作用(副反応)です。

全ての猫ちゃんに副作用が起こるわけではありませんが、副作用としては、注射部位が熱感を持つような部分的な症状から、ショック症状のような全身症状まで、様々な症状があらわれることがあります。

混合ワクチンや狂犬病の予防接種を受けた後は、猫ちゃんの様子をよく見て、異常がないかどうか確認してあげましょう。

最も気をつけるべきは、アレルギー反応!

ワクチンによる副作用の中でも、一番気をつけたいのがアレルギー反応!

ワクチンアレルギーには、ワクチン接種後すぐに起きる即時型アレルギーと、接種後数時間〜24時間以内に起きる遅延型アレルギーの2種類があります。

即時型アレルギー

いわゆるアナフィラキシーショック。

人間でも、ハチに刺されたり、蕎麦などの食物アレルギーで、突然ショック症状が起こることが知られていると思いますが、それと同じです。

すぐに適切な処置をしないと命を落とすこともある、重篤なアレルギー反応です。

そのため、多くの動物病院では、ワクチン接種を受けた後、動物病院の待合室で20~30分待機して、異変がおこらないか確認してからお家に帰ってもらうようにしているはず。

早くお家に帰りたい気持ちがあっても、これだけは必ず動物病院で確認してから帰宅していただけるよう、お願いします。

遅延型アレルギー

ワクチンの接種直後は元気で何も問題なかったとしても、まだ油断はできません。

ワクチンを接種した後は、帰宅してからも丸一日くらいは猫ちゃんの様子をよく観察してください。

瞼が腫れぼったいとか、皮膚が赤くなるような症状に気づいたら、すぐに動物病院に連絡しましょう。

症状の程度によっては、アレルギー反応を抑える処置を行います。

猫はアレルギー反応が起こりにくい?

実は、ワンちゃんに比べると猫ちゃんではアレルギー反応は起こりにくいと言われているんです。

私自身の経験でも、顔全体がパンパンで丸くなるくらい腫れてしまったワンちゃんは何頭か診察した経験がありますが、猫ちゃんでは、ちょっと瞼が腫れぼったいかも?程度の子が1頭いたくらい。

とはいえ、猫ちゃんでもアレルギーが起こるリスクはゼロではありませんので、腫れや赤み、痒がる様子があれば要注意です。

元気がない、食欲がない、熱っぽいなど、その他の心配な症状は?

ワクチンアレルギーよりも、猫ちゃんでは元気・食欲がないなどの体調不良があらわれることの方が多い印象です。

ワクチンを接種した後にいつもと様子が違うと、飼い主さんとしては心配になりますよね。

軽度な症状は1~2日で治ることがほとんど

ワクチンに対する体の防御反応の結果、軽度な副作用として、元気・食欲が低下したり、発熱したりすることもあります。

しかし、これらは一時的なもので、時間が経てば回復することがほとんど。

翌日など、1~2日で自然におさまることが多いです。

まずは自宅でゆっくり休ませてあげてください。

あまりにも長期間症状が続いたり、症状が悪化する気配があれば、動物病院に相談してみましょう。

精神的なストレスを感じている場合も

また、このような症状は、精神面でのストレスが原因である可能性もあります。

普段あまり病院に行くことがない猫ちゃんなど、いつもと違う経験をしたことで、緊張したり恐怖を感じ、一時的に元気がなくなっていたり、疲れてしまっているのかもしれません。

自宅の慣れた環境で休ませてあげ、しばらく様子を見てみましょう。

ワクチンを接種した場所にしこりが…

猫ちゃんのワクチン接種でもう一つ注意したいのが「しこり」です。

一時的なもので、時間とともに小さく消えるしこりは問題ないですが、まれに腫瘍化(ガン化)する場合もあるので、もしもの場合に備えて知っておきましょう。

ワクチン反応性(誘発性)肉腫とは

猫という生き物は、ワクチンや注射の刺激に対して反応して、体にしこりができやすい体質なんですね。

ワクチンを注射した部位に炎症が起こると、しこりになることがあります。

数週間くらいで炎症が落ち着いてしこりが小さくなれば問題ないのですが、

このような場合、炎症反応から腫瘍(ガン)に変化している可能性も。

これがワクチン反応性肉腫です。

ワクチン反応性肉腫は悪性の腫瘍で、治療法は手術で取り除くことが第一選択ですが、再発することも多く治療が難しい病気。

そのため万が一のことを考えて、猫ちゃんのワクチンは後ろ足や尻尾など、腫瘍ができたとしても切除しやすい場所に接種するのが推奨されています。

ワクチン反応性肉腫のリスクを減らすために

発症する確率は1万頭に1頭くらいと、頻繁におこるものではありませんが、ワクチンを接種した場所が腫れたり硬くなっているのに気づいたら、早めに獣医師に相談しましょう。

また、腫瘍になるリスクを減らすための対策として、

  1. 毎回、違う場所にワクチンを接種してもらう
  2. 背中(肩甲骨の間)ではなく、うしろ足や尻尾にワクチンを接種してもらう
  3. しこりや腫れを見つけからといって、揉んだり触りすぎたりしない

などが挙げられます。

多くの動物病院では、日常的に①,②のような配慮をしてくれているはずなので、安心して大丈夫ですよ。

ただ、引っ越しや転院などで、違う動物病院でワクチン接種を受けることもあるかもしれませんし、獣医師がうっかり忘れている可能性もゼロではありません・・・。

毎回どこにワクチンを接種したかを記録したり覚えておくようにすると安心ですね。

また、しこりを触りすぎると、炎症がひどくなって余計にしこりが大きくなったり、消えるまでに時間がかかってしまうこともあるので、あまり刺激を与えないようにしましょう。

愛猫がワクチン接種後に体調を崩さないための6つのポイント

しこり以外にも、ワクチン接種の後に猫ちゃんが体調を崩すことがないように、飼い主さんとして注意できることがあります。

必要以上にワクチンを怖がることはありませんが、安心してワクチン接種を受けられるように、万全の態勢を整えてあげたいですよね。

1.今までにワクチン接種後体調の変化があった場合は、必ず事前に獣医師に申告する

ワクチンでアレルギー反応をおこしたことがあったり、体調に影響が出た経験がある猫ちゃんは、ワクチンを接種する前に必ず獣医師に伝えましょう。

事前にアレルギー反応をおこしにくくする注射をした上でワクチンを接種するなど、安全にワクチンを接種するために特別な対応が必要になることがあります。

あまりにも重度なアレルギー反応を経験した場合は、ワクチン接種を中止した方がいいかもしれません。

不安なことは、事前に獣医師としっかり相談してくださいね。

2.ワクチン接種前は体調が整っているかどうか確認する

体調が悪い時に無理にワクチンを接種するのは控えましょう。

発情中や妊娠中なども、普段と体のバランスが変化しているため、ワクチンによって体調に影響が出る可能性があります。

元気や食欲、嘔吐や下痢がないかどうかなど、いつもと体調に変わりがないか確認してから動物病院を受診するようにしましょう。

3.ワクチン接種前に不要なストレスをかけない

ストレスがかかった状態では、猫ちゃんも体調を崩しやすくなってしまいます。

お家に迎えてすぐの子猫や、旅行・お出かけの直後などは、疲労やストレスで体調が不安定なため、ワクチン接種は控えた方がいいでしょう。

子猫の場合、家に迎えてから1週間ぐらいはまずは環境に慣らすことを優先し、その後でワクチン接種を受けるようにしましょう。

4.午前中などなるべく早い時間にワクチン接種を受けるようにする

ワクチンを接種してから数時間から1日は体調に異変が起こる可能性があります。

しっかりと猫ちゃんの様子を確認してあげられるように、また、万が一の時に、夜間で動物病院が閉まっている!というような事態を避けるためにも、ワクチンはなるべく早い時間帯に接種することをオススメします。

5.ワクチン接種後はなるべく安静に

人間でも予防注射の後は安静にして入浴を控えたりしますよね。

それと同じで、猫ちゃんもワクチンを接種した日は安静に過ごさせてあげてください。

ワクチンを接種した後、そのままホテルに預けたり、たくさん遊ばせて興奮させるなどはNG。

シャンプーなどもワクチン接種後1週間程度は控えた方が安心です。

水やドライヤーが嫌いな猫ちゃんはもってのほかですが、慣れている猫ちゃんでも、水に濡れると結構体力を消耗するものなんです。

なるべく体に負担をかけないようにしてあげてくださいね。

猫のワクチン接種後は、アレルギー反応や体調の変化に注意しよう

ワクチンは、猫ちゃんの健康を守るための大切な注射です。

しかし、どんなものにも良い側面と悪い側面があるように、副作用が出る可能性がゼロではないことも事実。

ワクチン接種を受ける時は、この3点に気をつけて、獣医師と相談しながら適切なワクチン接種を受けましょう。

ワクチンの種類や選び方については、猫の混合ワクチンの種類と選び方、接種時期のまとめ。でも詳しく紹介しています。

猫の混合ワクチンの種類と選び方、接種時期のまとめ

2016.01.03

もしもワクチン接種後に心配な症状があらわれたら、一人で判断せずに遠慮なく動物病院の獣医さんに相談してくださいね。

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