こんにちは!元獣医師のにぼしです!
ワンちゃんの飼い主さんにとって、狂犬病の予防接種は毎年欠かせないイベントの一つですよね!
年に1回、狂犬病の予防接種を受けることは、飼い主の義務として法律でも定められています。
しかし、いつどうやって予防接種を受ければいいのか分からない…とか
忙しくて予定が合わないなぁ…と思ってるうちに、予防接種を受けるタイミングを逃してしまった…
なんて、お悩みではありませんか?
この記事では、犬の狂犬病の予防接種の受け方をわかりやすく説明していきます。
予防接種を受ける時期や費用、必要な手続きなど順番に紹介しますので、一緒に確認していきましょう!
狂犬病の予防接種の受け方
まず最初に、狂犬病の予防接種について、全体の流れを確認しておきますね。
狂犬病の予防接種について、飼い主さんがやるべきことは大きく分けて次の3つ。
- 狂犬病の予防接種を受ける
- 狂犬病の注射済票をもらう
- 注射済票を飼い犬に装着する
予防接種を受けたら終わりではなく、「注射済票」という狂犬病の予防接種を受けたことを証明するお札を着けるところまでが義務として定められているので注意してくださいねっ!
狂犬病の予防接種を受ける時期
それでは、狂犬病の予防接種はいつ受ければいいのでしょうか?
狂犬病の予防接種の時期は春!
狂犬病の予防接種を受ける時期については、法律上の決まりごとが2つあります。
- 1年に1回予防接種を受けること
- 4月1日〜6月30日までに受けること
飼い犬の登録をしていれば、この時期になるとお住まいの市区町村から狂犬病予防接種のお知らせが郵送されてくるはず。
動物病院でも、お知らせを送ってくれるところもありますね。
毎年春になったら狂犬病の予防接種を受けてね、てなわけです。
4〜6月の接種時期を逃したら?
「年に1回」なのは知ってたけど、何月に受けるかまで決まっていたなんて…
コレ、以外と知らない飼い主さんが多いです!
ワンちゃんの体調不良や多忙などで接種時期がズレてしまったり、毎年秋冬など、違う時期に動物病院で狂犬病の予防接種を受けていたりしませんか?
厳密に言うと、法律に反することになってしまいます。
でも、安心してください。
実際のところは、「年に1回」狂犬病の予防接種を受けていれば、時期まで問題になることはまずありません。
動物病院では一年中、狂犬病の予防接種を打ってもらえるので、ワンちゃんとあなたに合った時期に予防接種を受けさせてあげましょう。
うっかり狂犬病の予防接種を忘れてしまった場合も、気づいた時点でなるべく早めに予防接種を受ければセーフです。
去年の狂犬病の予防接種から1年経ってない場合は?
例えば、何らかの事情で狂犬病予防接種を12月に受けた場合、翌年の4~6月の時期にまた狂犬病の予防接種を打つのは早過ぎるんじゃないか・・・と心配になりますよね。
狂犬病の予防接種は、前回の接種から1年以内に接種したとしても安全性に問題はありません。
なので、このように予防接種の時期が遅くなってしまったとしても、翌年再び4〜6月の時期に予防接種を受けて大丈夫です。
あまりにも早くて心理的に抵抗がある場合は、6月末ギリギリに接種したり、何年間かかけて少しずつ時期を調整していくといいですよ。
子犬の狂犬病予防接種の時期は?
初めての狂犬病予防接種って、わからないことが多いですよね。
子犬の初めての狂犬病予防接種では、4~6月の時期にまでこだわる必要はありません。
法律では、生後91日以上のワンちゃんは狂犬病の予防接種を受けるよう決められているのですが、この時期の子犬は他にも混合ワクチンの接種があったりと、いろいろと忙しい時期ですよね。
混合ワクチンは、子犬の命に関わるような重大な病気に対する免疫力をつけるための大切なワクチンです。
なので、子犬ではまずは混合ワクチンを優先的に接種して、狂犬病の予防接種は、最後の混合ワクチンが接種し終わってから1ヵ月後に受けるといいですよ。
生後2ヵ月くらいの子犬を家に迎えたとしたら、狂犬病の予防接種を受ける時期は、だいたい生後4〜5ヵ月くらいになることが多いです。
動物病院と集合注射での費用・メリットの違い
狂犬病の予防接種を受けるには、動物病院か各市区町村で行われる集合注射のどちらかを利用することになります。
どちらを選ぶかはあなたの自由。
費用やメリットなどの違いをご紹介するので、参考にしてみてくださいね。
動物病院での狂犬病予防接種
動物病院では、いつでもあなたの好きな時に予防接種を受けることができます。
また、かかりつけの動物病院がある場合は、よく知っている獣医さんに注射してもらえば安心ですね。
動物病院では狂犬病の予防接種だけでなく、他にも気になることがあれば一緒に相談できるため、予防接種と合わせて動物病院を上手く利用しましょう。
メリット
- 自分の都合に合わせて受診できる
- 予防接種以外の健康相談、爪切りや肛門腺チェックなどもできる
- 予防接種後にアレルギー反応など体調変化が起きた時でも対応してもらえて安心
デメリット
- 混雑している可能性大
- 病院嫌いのワンちゃんは大変
- 後日、自治体に注射済票の手続きをする必要がある
(手続きを代行してくれる動物病院もあります。)
費用
費用は動物病院によって違いますが、4,000円前後で受けられます。
- 予防接種注射代: 2000~3000円程度
- 診察料:1000円前後
- 注射済票交付手数料:550円(後日、手続きする時に必要)
集合注射での狂犬病予防接種
市区町村などの各自治体で行われる集合注射ですが、最近では、札幌市など集合注射を廃止する自治体も出てきています。
集合注射を行っている自治体で飼育登録を済ませたワンちゃんなら、春になったら集合注射のお知らせが届くはず。
必要な書類を持って、決まった日時に会場へ行きましょう。
獣医師が次から次へと手際よく注射を打ってくれます。
メリット
- 動物病院より少し料金が安い
- 比較的早く終わる
- 注射済票をその場で貰える
デメリット
- 決まった日時にしか開催されない
- 公園などの野外では、天候の影響を受けやすい
- 獣医師の診察は受けられない
- たくさんワンコが集まってくるので、他のワンちゃんが苦手な子は大変
費用
- 予防接種注射代: 2500〜3000円(地域によって異なる)
- 注射済票交付手数料:550円
動物病院と集合注射、おすすめはどっち?
注射済票をもらうための手続きも同時に済ませられ、開催日時の都合さえ合えば便利な集合注射ですが、元獣医師の私としては、動物病院での接種をオススメします。
その理由は、安心・安全面はもちろんのこと、動物病院では健康チェックをはじめ、日ごろの不安・疑問を一気に解決することができるから。
特に、若くて健康なワンちゃんは、めったに病院に行く機会がないですよね。
ワンちゃんが歳をとるスピードは人間の約4倍です!!
つまり、1年に1回の通院だとしても、ワンちゃんにとっては4年に1回だということ。
予防接種のタイミングで動物病院を上手に活用して、病院に慣らしたり、健康診断や飼育相談をするのがオススメです。
狂犬病の予防接種を受けた後は・・・
狂犬病の予防接種を受けたら、当日は安静に過ごしてワンちゃんの様子に異変がないか、よく様子を見てあげましょう。
詳しくは、元気がないのは副作用?犬のワクチン接種後の注意まとめ!でも紹介しているので、読んでみてください。
狂犬病予防接種の注射済票を手に入れよう
無事に狂犬病の予防接種を受けたら、注射済票を交付してもらってワンちゃんに着けてあげましょう。
注射済票は、「今年の狂犬病予防接種をきちんと受けてます」ということを公的に証明する免許証のようなものです。
これがあれば、堂々とドッグランやペットホテルを利用できますね。
注射済票をもらうための手続き
集合注射では、その場で注射済票を発行してもらうことができますが、動物病院で予防接種を受けた場合は、自分で手続きを行わなければなりません。
- 手続きに必要なもの:動物病院で発行してもらった注射済証明書
- 手続き先:市区町村の役所や保健所
- 注射済票交付手数料:550円
- 注射済票の再交付(紛失した場合)手数料:340円
手続きまで忘れずに行いましょう!
注射済票を装着するためのおしゃれアイテム
注射済票や鑑札は、首輪などワンちゃんの身に着けておく必要がありますが、金属プレートそのままだと、カチャカチャ音が鳴ったりして気になることもありますよね。
そこで、見た目にもスッキリして便利なのが、鑑札ケースやカバー。
鑑札と注射済票をまとめて収納できて、迷子札にもなるんです。
種類も豊富なので、気に入るデザインのものを見つけてみては?
義務だけど…病気などで狂犬病の予防接種を見送る時はどうすれば?
狂犬病に限らず、健康状態が良くない時は、予防接種を受けるべきではありません。
吐き気、下痢などワンちゃんの体調が良くない時は、無理に予防接種を受けず、まずは体調の回復を優先させてあげてください。
また、免疫に関わるような持病があったり、高齢で体調の良くないワンちゃんなど、どうしても狂犬病の予防接種を打てない場合があります。
そのような場合は、獣医師から発行された「狂犬病予防注射猶予証明書」という書類を役所に提出することで、予防接種の免除が認められます。
心配なことがある場合は、かかりつけの獣医さんに相談してみましょう。
狂犬病の予防接種は忘れずに!
狂犬病の予防接種の受け方をまとめてご紹介してきました。
ワンちゃんの飼い主さんは、毎年1回、なるべく4〜6月に狂犬病の予防接種を受けさせてあげましょう。
そして、注射を受けた後は注射済票を装着!です。
日本では予防接種が普及したかいあって、1957年に猫で狂犬病が発生したのを最後に、それ以降国内で狂犬病の感染は認められていません。
しかし、世界中ではまだまだ感染が広がっていて、命を落とす人や犬も多いです。
何と言っても、発症すれば人も犬も致死率ほぼ100%という恐ろしい病気ですから・・・
法律での決まりごとや手続きなど、面倒なこともある狂犬病の予防接種ですが、それだけ予防が大切な病気だということです。
あなたの愛犬の命を守るだけでなく、日本で再び狂犬病が発生しないようにするためにも、愛犬家なら1年に1回、忘れずに狂犬病の予防接種を受けさせてあげてくださいね!