獣医さんになって動物病院で働きたいあなたや、獣医学生で臨床へ進もうかと考えているあなた。
実際、臨床獣医師として働きはじめると、どんな生活が待っているのでしょうか?
今日は、私が動物病院で獣医師をしていた頃の典型的な1日を紹介してみます。
東京都内の動物病院で、スタッフは15人くらい。
急患や緊急手術がない、平和な1日を例にしてみました。
あなたも新人獣医師になったつもりで読んでみてください。
新人獣医師の1日
〈AM8:00〉家を出る
通勤手段は自転車。
途中でコンビニに寄り、飲みものやお昼ごはんを購入し、15分くらいで動物病院に到着。
帰りが夜遅くなることも多く、病院の近くに住んだ方が何かと便利。
そのため自転車通勤がメジャーです。
〈AM8:15〉動物病院に到着
まずは着替え。病院に着いたら、すぐにスクラブやケーシー、白衣などのユニフォームに着替えます。
足元はクロックスが定番。
仕事中の服装は動きやすさが一番!
オシャレを楽むのは難しいですが、ユニフォームの色や胸ポケットに挿すペンなど、さりげないアレンジを楽しむ女性獣医師も多い?!
〈AM8:25〉朝一番の仕事は掃除から
着替えてまず最初の仕事は、入院やホテルでお預かりしている動物たちのケージ掃除。
ペットシートを取り替えたり、ケージの中を消毒したり、清潔に保つよう心がけます。
動物相手なので、排泄物の掃除が大半を占めます。
朝からいきなり排泄物と向き合うことに少し抵抗があるかもしれませんが、働き始めると慣れ(というか麻痺?!)ますので安心を。
むしろ、慣れないと獣医師はやっていけません。
掃除は後輩獣医師が積極的にやりましょう。
〈AM8:45〉朝のミーティング
当直担当の獣医師から、入院中の動物の夜間の様子などを引き継ぎます。
手術の予定が入っている時は、どんな手術なのか、誰が執刀するかなど、診察が始まる前にスタッフ全員で情報共有。
病院ではいつ何が起こるかわかりません。
スムーズに1日の仕事ができるよう、全体を把握しておくのが大切です。
〈AM9:00〉午前の診察開始
入院中の動物に投薬などの処置をしながら、外来の診察も担当。
先輩獣医師の検査や処置の手伝いに入るのは、自分の勉強にもなる。
外来担当と入院担当、手術担当がはっきり分かれている病院もあれば、全部ひっくるめて全員で担当するスタイルの病院も。
私は後者のスタイルの病院で働いていましたが、外来が混雑した時は、一時的に外来を中心に診る獣医師を立てたりして、臨機応変に対応していました。
混雑したり重症患者がいると、座って休む時間はほとんどありません。
〈AM12:00〉昼休み
やっと昼休み…
とはならず、午前の診察終了間際に来院した動物の対応や、午前中にできなかった入院中の動物の処置をこなす。
ひと段落したら昼食を食べつつ、午後に向けて準備。
外来がない昼休みを利用して、手術を行ったり、セミナーや症例検討の勉強会を行うことも。
基本的に、ゆっくりランチを楽しむというわけではなく、何かをしつつ午後に向けて腹を満たす…という感じ。
〈PM2:00〉午後の診察開始
午前中と同様、入院中の動物の様子を見ながら、外来診察。
午前中にやるべきことが終わっていれば、午後は比較的外来の診察に集中できます。
新人獣医師は、自分の仕事だけでなく、他にもできることをどんどん探す視野の広さも重要。
ボーッとしていると、先輩達からあまり良く思われないので注意。
〈PM6:00〉午後の診療終了、午後のミーティング
夕方になると、外来の合間を見ながら、入院動物たちの午後の処置を進めます。
早番はここで終了。残りの診察は遅番にバトンタッチ。
ミーティングでは、その日新しく入院した症例など、報告事項を共有。
特に夏場は涼しくなる夕方を狙って来院する飼い主さんも多く、夕方から突然激混みすることもしばしば。
そんな日に遅番担当だと…
夏の遅番は覚悟が必要かも。
〈PM7:00〉引き継ぎ、カルテ整理、勉強
遅番担当に自分が担当している入院動物を引き継ぎ。
その日の経過や夜間の投薬、処置の内容などを伝える。
担当した症例のカルテに記入モレがないか確認した後は、明日に向けての準備や勉強を。
新人時代は、外来や入院で治療や診断に迷うことがたくさん。
診察が終わった後に、本で調べたり先輩に相談したりして、一つ一つ勉強を積み重ねることが大切です。
〈PM8:00〜9:00〉着替えて帰宅
ユニフォームから着替える。
入院動物たちの様子を確認しつつ、おつかれさまでしたー!と帰路につく。
自分が担当している入院動物のことはやはり気になるもの。自然と、帰る前には動物に一声かけるようになります。
プライベートタイムは?
仕事が早く終わる時はスタッフ同士で飲みに行ったり、とっとと帰宅して家で食事しながら映画を見たり…
新人の頃は、毎日慣れないことばかりで疲れてひたすら寝る…というパターンが以外と多いかも。
よくアフターファイブなどという言葉を聞きますが、さすがにそんな時間に仕事が終わることはなく、残念ながら獣医師には無縁の言葉です。
新人獣医師の1日まとめ
こんな感じで1日があっという間過ぎていきます。
しかも、同じような日々の繰り返しではなく、1日1日、その日によって何が起こるか全くわかりません。
どうでしたか?
臨床獣医師の仕事のイメージができたでしょうか?
立ち仕事ですし、慣れるまでは大変かもしれません。
急患などで、もっとバタバタしたり仕事が夜遅くなることも。
しかし、次第に仕事中の動き方や息抜きの仕方が分かってくるはず。
興味があるなら、まずは挑戦するのみです!
動物病院では実習や見学を受け入れてくれるところも多いので、あなたの目で見て確かめてみましょう。