こんにちは。元獣医師のにぼしです。
下痢は、ハムスターの病気の中では比較的よく見られる症状。
ゴールデンハムスターに特徴的なひどい水下痢で、尻が濡れてしまうほどの下痢を「Wet Tail(ウエット テイル)」と呼ぶのですが、最近ではハムスターの下痢を全部ひっくるめてWet Tailと呼ぶことも多いです。
軽い下痢からひどい下痢まで症状はさまざまですが、注意したいのは、体の小さいハムスターにとっては下痢で命を落とす可能性もあるということ。
重度の下痢の場合、数日で命を落としてしまうこともあるんです。
ハムスターが下痢をして心配しているあなた。
今すぐ一緒に症状や対処法を確認していきましょう!
こんな症状は下痢のサイン!
ハムスターは体調が悪くても隠そうとする生き物。
飼い主さんが気づく頃には、症状が重症化していることも多いんです。
下痢の主な症状は、
- 便がやわらかい、水様
- お尻やしっぽの周囲が濡れたり汚れている
- 背中を丸めた姿勢で沈鬱(腹痛のサイン)
- 元気食欲がない
- 脱水して体重が落ちる
など。
お尻周りが濡れたり汚れるほどの下痢は、重度の下痢なので早めに動物病院で診てもらわないと危険です。
また、元気食欲や体重が落ちるなど、ハムスターの全身状態が悪くなっている場合も、下痢が重症化している可能性が高いので要注意。
早めに気付いてあげられるように、便の様子はもちろんですが、普段からハムちゃんの体調をよく観察してあげるようにしたいですね。
ハムスターが下痢をする3つの原因
ハムスターの下痢の主な原因は
- 細菌・寄生虫などの感染症
- 不適切な食餌
- ストレス
の3つ。
原因は1つだけとは限らず、いろいろな原因が重なって下痢につながっていることも。
一つずつ確認していきますね。
1.細菌・寄生虫などの感染症
下痢を引き起こすような細菌や寄生虫への感染が原因になっている場合。
大人のハムスターよりも、若い子どもハムスターで多いです。
特に、ペットショップや里親から迎えたばかりのハムスターが下痢をしているような場合は、あなたのお家にやってくる前に他のハムスターから寄生虫などが感染している可能性も。
原因になっている寄生虫などは、便検査で発見できるので、異変に気づいたら早めに動物病院でみてもらうようにしましょう。
2.不適切な食餌
水分が多い野菜や果物の食べ過ぎで下痢をすることがあります。
ハムスターが好んで食べるからといって、与え過ぎは良くありません。
また、巣箱の中に溜め込んで傷んでしまったエサを食べたり、時間が経って傷んだ水を飲んでお腹を壊すことも。
心当たりがあれば、今すぐ食べ物・飲み物を見直してあげてください。
3.ストレス
ハムスターはストレスに敏感。
ストレスがかかると免疫力が低下して、体調を崩しやすくなります。
腸内の細菌バランスが崩れて下痢をしたり、感染症など病気にもかかりやすくなってしまうんですね。
お迎えしたばかりの若いハムスターなど、飼育環境が大きく変化したような時は、ストレスで体調を崩しやすいので注意が必要です。
自宅でできる5つの対処法
ハムスターの下痢に気付いたとき、何かお家でできることはないかな?と考えますよね。
まず、大前提として、重度の下痢や家にお迎えしたばかりの子ハムスターの場合は、早めに動物病院を受診してください!
なぜなら、体が小さいハムスターは、下痢をすることで体の水分が失われると、命に関わることもあるからです。
また、下痢が続くと「脱腸」といって腸が肛門から出てきてしまうような状態につながることも。
- お尻まわりが濡れるような水下痢
- 元気食欲がない、動きが鈍い
- お迎えした直後
- 何日も下痢が続いている
このような場合は、自宅で様子を見るより早めの受診がオススメです。
ここでは、軽度の下痢の応急処置や、動物病院を受診した後、お家でハムちゃんを看病する場合などの対処法をご紹介します。
1.部屋やケージを暖め保温する
体温を維持するのにもエネルギーが必要。
下痢など体調を崩しているときは、体力が落ちて体温が下がりやすくなっています。
ペットヒーターや湯たんぽなどでケージ全体を温めてあげましょう。
温め過ぎに注意し、ハムスターにとっての適温20℃〜26℃くらいを目安にしてください。
2.下痢をしているハムスターは隔離する
他にもハムスターを飼っている場合は、万が一のことを考えて、下痢をしているハムちゃんのケージを隔離して感染が広がるのを防ぎます。
感染するような下痢でなかったとしても、体調を崩しているハムちゃんの様子を第一優先で確認できるよう、よく観察できるところに移動させるのは意義があります。
また、下痢をしているハムちゃんを触った後は、よく手を洗うようにしましょう。
3.適度な水分補給をこころがける
下痢によって脱水症状にならないよう、水分補給は大切です。
体を冷やさないよう常温の水や、スポーツドリンクを薄めたものなど、ハムスターがきちんと水分を摂れるようにしてあげてください。
ハムちゃんが自分から水を飲もうとしない場合は、スポイトなどで適度に水分を飲ませてあげましょう。
4.野菜や果物は控える
下痢が治るまで、水分の多い野菜や果物を与えるのは控えましょう。
食餌はいったんペレットだけにして様子を見てください。
水分の摂り過ぎで下痢をしているのなら、これだけで改善することもあります。
5.ストレスをかけない
下痢の原因の一つにもなるストレス。
これ以上下痢が悪化しないように、ストレスがかからないような静かな環境を整えてあげてください。
心配だからといって、触りすぎるのもよくありません。
必要以上にエサやケージ内の飼育環境を変えるのもストレスになるので注意して、とにかくゆっくり過ごさせてあげましょう。
ハムスターの下痢の治療法
自宅で様子を見ていても下痢がよくならない場合や、症状が悪化してきた場合は早めに動物病院を受診してください。
原因に合わせた適切な治療や、点滴など病院でしか受けられない治療法もあります。
原因を調べるための便検査
動物病院では多くの場合、まず下痢の原因を調べるために便検査を行います。
ハムスターのウンチを溶かして顕微鏡でのぞくと、寄生虫や細菌バランスなどを確認することができるんです。
新鮮なウンチがあれば、サランラップなどに包んで乾燥させないようにして、動物病院に持っていくといいですよ。
難しい場合でも、病院に着くまでに大抵はハムちゃんが排便すると思いますので、そのまま病院に行ってみましょう。
原因に合わせた治療と支持療法
便検査や診察で下痢の原因がわかったら、それに合わせた治療をしていきます。
寄生虫などが感染している場合は駆虫薬で虫下しをしたり、悪玉菌の増殖を抑えたり細菌バランスを整えるために抗生物質などが使われることも。
それと同時に、脱水を改善するための点滴など、全身状態を支えるための支持療法を行います。
ひどい下痢の場合など、状況によっては入院して集中治療をおすすめされることもあるかもしれません。
不安なことは遠慮なく獣医さんと相談してくださいね。
ハムスターの下痢は早めの対処が重要!
ハムスターは体調が悪くても隠そうとする生き物ですし、体も小さくなかなかすぐに異変に気付くことができないかもしれません。
だからこそ、気付いた時点で早めに対処してあげることがとっても大切!
重症化してからでは手遅れになってしまうことだってあります。
寿命が短いハムスターにとっての「1日」は私たち人間よりもずっと重みがある1日です。
あなたの小さな家族が早く元気になってくれるよう、できる限りのケアをしてあげましょう。